《人と防災未来センター》
1995年1月17日5時46分に阪神・淡路大震災が発生しました。
私は当時9歳でした。住んでいる広島でも揺れがあり、それから連日テレビでとても大変
な状況が中継されていたのを覚えています。

昨年、西日本豪雨災害があり、私の住んでいる地域では土砂崩れや濁流による大きな被害
が出ました。幸い私の近所では大きな被害はありませんでしたが、見慣れた地元の街並み
は大きく変わってしまいました。
まさか自分の近くでこのようなことが…と思い、ショックを受けたのと同時にこの経験は
後世に伝えていかなければならないと感じました。そして経験はしていませんが、あの時
テレビで観た阪神・淡路大震災についても『もっと知り、教訓にしたい』と思い『人と防
災未来センター』を訪れました。

施設の中には地震発生時を再現した映像や震災直後の街並みを再現したエリア、街の被害
の様子の写真や体験談の映像等があり、テレビでは知ることのできなかったこともありま
した。
メディアでも南海トラフ大地震等、今後大きな地震が起こる可能性があるということを耳
にします。地震の発生を防ぐことはできないかもしれませんが、万が一に備え自分の周り
で少しでも被害を軽減するための準備はできるのではないかと思います。

例えば家の中であれば、
・食器棚のガラスに飛散防止フィルムを貼る
・棚の中にゴムシートを敷き、揺れによる食器の滑りを防ぐ
・テレビとテレビ台は固定しておく
・棚の高いところには重いものは置かない

など比較的簡単に行えることもあるかと思います。
その他、家具と壁を固定するようなもので市販されている物もあるようです。
総務省消防庁のホームページにも色々と対策が掲載されていましたので、私ももう一度
見直し、業務〈建築設計〉でも生かせるように、万が一に備え出来る準備はしておこう
と思います!

2019.04.12
身近なところに・・・
 広島県の国宝の建築物といえば世界遺産の厳島神社が有名ですが、実は身近なところに
も存在します。広島市東区にある不動院の金堂です。広島市内では唯一の国宝の建築物に
なります。今回は不動院内にある3つの建築物について紹介します。
不動院 金堂 ※国宝
戦国時代(1540年頃)に建立された金堂です。元々は大内義隆が周防(山口)に建てた
仏殿を安国寺恵瓊が安芸安国寺仏殿として移築したと伝えられています。江戸時代に禅宗
から真言宗に変わり、寺名も不動院に変わりました。(仏殿も金堂へ改称されました。)
構造形式は、桁行三間、梁間四間、一重裳階付、杮葺きの入母屋造りです。様式は禅宗様
で、四隅が反った屋根や軒下の密集した組物が特徴です。
現存する中世の禅宗様仏殿としては、最大規模のものになります。

不動院 楼門 ※国の重要文化財
室町時代末期から安土桃山時代の頃に建立された門で
す。構造形式は、三間一戸、二階二重門、本瓦葺きの
入母屋造りです。正面通路の左右には仁王立像が安置
されています。様式は禅宗様ですが、一部勾欄に和様
が用いられています。

また、京都府京都文化博物館別館の近くの
中京郵便局の旧庁舎も見に行ってきました。
この建物は、明治35年8月に竣工したそ
うです。ネオルネッサンス様式の建物で、
昭和51年から昭和53年に改築が行われ
南面及び東西側面の一部の外壁と屋根が保
存され現在も見ることが出来ました。外部
は、京都文化博物館別館同様赤煉瓦と白い
花崗岩が美しい建物でした。内部は一般的
な郵便局の内装となっていました。

三条通りには、歴史的建造物が多く残って
おり日本生命京都支店や日昇別荘などを短
時間で複数見ることが出来ました。とても
有意義な時間を過ごすことが出来ました。
2019.06.14
~準備できること~
 私は一度訪れてみたいと思う場所がありました。
そこは兵庫県神戸市にある『人と防災未来センター』というところです。
阪神・淡路大震災から得た貴重な教訓を後世に継承し地震災害による被害軽減に貢献する
こと等を目的に設立されたそうです。
楼門
中京郵便局 旧庁舎
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 昨年の西日本豪雨では広島でも甚大な被害がありました。
「想定外の自然(災害)」と共存していくためには、太田川の歴史と同様、改修工事など
の治水対策も必要なことですが、先達の教訓を生かし、まずは各々の災害に対する意識を
高め、将来に備えることが大事なのだと思います。
 「水の都」と呼ばれる広島市内には現在6本の川が流れています。
…と、私の担当した前回のブログでこう書き始めたのですが(前回は6本のうちの1本、
猿猴川に架かる「猿猴橋」の話をしていますのでこちらも是非ご覧下さい!)今回はそ
の「6本の川」についての話をさせて頂こうと思います。

さて、現在広島市内を流れる6本の川、西から順に太田川放水路、天満川、本川(旧太田
川)、元安川、京橋川、猿猴川です。広島市内の生活に欠かせない存在となっているその
6本の川、…実は昔は7本だったことを皆さんご存知でしょうか?
なぜ6本になったのか、その理由をお話しする前に、まずは6本の川の元となる「太田川
」の話をさせて頂きます。

太田川は延長(水源から河口までの距離)103km(全国第50位!)の一級河川です。
その源流は広島市の西に位置する廿日市市吉和にある「冠山」です。途中いくつもの支川
が合流し、最終的に広島市街の6本の川から海へ流れます。
「三角州(デルタ)の街」と呼ばれる広島市、その三角州のほとんどは昔は海であり、太田
川の上流から流れてきた土砂が堆積して出来た新たな土地でした。遠浅の干潟であった土
地を干拓し、現在の三角州の地形の基礎が出来あがります。
その多くの土地は海抜ゼロメートル地帯(満潮時の平均海水面より低い土地)であるため、
長い間洪水被害に悩まされてきました。太田川の歴史は、水害との戦いの歴史でもあり、
古くは江戸時代から、また明治以降も4、5年に一度の頻度で洪水被害を受けていました。
改修工事の計画はありましたが、財政難によりなかなか工事を行うことが出来ませんでし
た。大正から昭和の初めにかけての頻繁な洪水被害で、太田川の改修工事を要望する声が
高まったことにより、県と市が国に働きかけ、ようやく予算が議決されます。昭和7年つ
いに工事着手することが出来ます。

6本の川の中で一番西側を流れる太田川放水路は、その改修工事により「山手川」、「福
島川」の2本の川を、洪水被害に耐えうるよう1本にまとめた川です。
昭和19年には戦争のため工事が一時ストップしますが、同23年には工事が再開、同4
0年に放水路の要である水門の通水式が行われ、昭和42年ついに完成しました。実に3
6年もの長い工事期間でしたが、完成以来、現在も広島の市街地を洪水から守り続けてい
ます。
 10月に東京に出張行った際に立ち寄った新国立競技場について紹介をしたいと思います。
新国立競技場は2020年東京オリンピックのメインスタジアムとして利用するため、
2015年3月に旧国立競技場を取り壊し、2016年12月から着工を始めました。
写真は10月に撮影されており、まだ工事中の写真ですが、11月30日に全日程の工事が
終了しています。
計画当初はイギリスのザハ・バディド氏のとても近未来的な流線形の斬新なデザインで建設
予定だったのですが、総工費の予算の問題で白紙となりました。急遽、公募型プロポーザル
で現在の大成設計・梓設計・隈研吾氏のチームによる案に変更されました。ザハ・ハディド
氏の案が白紙となったことで当初予定していた工期が大幅に長くなってしまいラグビーワー
ルドカップで使用できなくなりました。
そして実際に建てられた新国立競技場は、コンセプトが「杜のスタジアム」となっておりス
タジアム周辺は緑が多いエリアということもあり、木材を多く使用しています。木材を外観
に使っているので、とても落ち着いた雰囲気のデザインとなっています。使用されている木
材は47都道府県から調達されており、スタジアムの方位に応じて使用されている木材が違
い、住宅の間柱として全国に流通し、調達しやすい105×30mmの木材を使用しており、
工場で防腐処理をしてスタジアムに使用しているそうです。
木材が使用されている庇を下から見上げると、垂木状の軒になっており、軒のデザインは、
お寺や神社に見られる日本伝統建築となっています。実際に近くで見てみると等間隔で綺麗
に敷き詰められているのがわかります。昼の明るい時に見ると木目も見えてもっと美しく見
えるのかなと思いました。
完成間近の新国立競技場を見て、まだ先だと思っていた2020年の東京オリンピックがあ
と数ヶ月で開催されることを実感しました。またこのスタジアムでこれからどんな歴史やド
ラマが起こるのかと想像しワクワクさせてもらえた時間になりました。まだ完成した新国立
競技場を生で見ていないので、次に東京に行く機会があればこの前は夜で暗かったので昼間
にぜひ行ってみたいです。
オリンピックのメインスタジアム
社員ブログ
2019.12.27
2019.10.18
 先日、山口県岩国市にある錦帯橋へ行ってきました。広島県から車で約1時間で行ける身
近な観光名所ですので皆さんも一度は訪れたことがあるのではないでしょうか?300年以
上も前からその技術と美しさを保ち続けている「錦帯橋」と他に「旧目加田家住宅」につ
いて紹介していきます!

~日本三名橋の「錦帯橋」について~
今の錦帯橋ができる以前にも同じ場所に、岩国城と錦川によって分断された城下町を繋げる
橋が架けられていました。しかし、洪水により幾度と流されてしまい、当時は「流されない
橋」を架けることが悲願となっていたそうです。そこで長い月日と着想・技術が実を結んで
出来たのが錦帯橋です。 
 特徴は「5つの木造の橋が連なる構造」です。その内、中央の3連は迫持式と言われる
アーチ構造で、両端の2つの橋は反りを持った桁橋構造となっています。主要構造材にはマ
ツやケヤキ、化粧材にはヒノキ等の腐食しにくい材料が使われており、木材の性質や経済性
等の様々なことが考慮されています。
 昭和25年に台風で一度は流失してしまったものの、石橋橋脚の基礎をコンクリートにす
ことや、高さを1m高くすること、拱肋の始点を支える隔石を沓鉄に改めるなどの一部の
改良
を施し、さらに木部の延命を図るために防腐剤も使用しました。そして、昭和27年に
架橋が終わり、その翌年には渡り初めが行われたそうです。
 今もなお、昔と変わらずにどっしりと構えている迫力満点の姿を見て、先人たちが造り上
げてきたものの偉大さやその技術の凄さに圧倒されました。また、橋から眺める景色も絶景
でとても気持ちがリフレッシュ出来ました!
岩国の名所を散策!
《新国立競技場》 
《錦帯橋》 
 ~「旧目加田家住宅」について~
この建物は18世紀後半の建築と推定されており、中級武家の住宅としては全国でも数少な
い遺構の1つとして国指定重要文化財に指定されています。
 建物は入母屋造りで基礎部分を自然石や玉石を礎石にして建てられています。構造部材は
マツを使用しており、一部スギとケヤキも使用しています。屋根は瓦葺きで、土間側面を除
いて三方に庇を巡らして南西に面して建っています。間取りは当時のまま、玄関は南側で手
前に板敷の式台が設けられています。座敷は客を迎え入れる表座敷と家族が利用する裏座敷
があり、表座敷の前には次の間と呼ばれる控えの部屋もあります。この他にも台所や、主人
の身の回りのお世話をする中間がつめる中間部屋などがあります。この建物の特徴としては
二階建てでありながら、正面は平屋のように屋根で覆われていることです。
二階建てにしたのは洪水の際の避難場所として使うためであったと想定されているそうです
が、正面から主君をはじめ上位の武士を上から見下ろすことがないように配慮されて建てら
れています。
昔は前述に説明したとおり様々な工夫がされていて、現代は高層のビルが建ち並んだり、昔
では考えられないような建物が様々な意図で建築され、その時代の情景に見合ったものが建
てられているのだなと思いました。

 今回は2つ紹介させていただきました。錦帯橋は、四季折々の変わった姿が見ることがで
きそうなので、時間をおいて再び訪れたいです。また、この周辺にはまだまだ沢山の歴史的
建造物があるので、そちらにも行ってみたいと思いました。

2019.08.09
 先日、以前から見行きたかった「京都府京都文化博物館 別館」を京都に見に行ってき
ました。
京都府京都文化博物館別館は、旧日本銀行
京都支店として明治39年6月に竣工し、
設計は辰野金吾と長野宇平治によるものだ
そうです。昭和42年からは平安博物館と
して使用され、昭和63年から京都府京都
文化博物館別館として利用されています。
外観は煉瓦造スレート・銅板葺の建物で三
条通りに面して左右対称となっており、赤
煉瓦に白い花崗岩が印象的な建物です。
19世紀後半のイギリスの建築によく使わ
れた様式を用いており、両翼には搭屋が付
き屋根には通気等・採光窓などが設けられているそうです。内部は、大きな吹き抜け空
間があり、カウンターのスクリーンや壁面の装飾、天井などは現在もそのまま使用され
ていました。別館の中は、売店や展示スペースがあり無料で見て回ることが出来ました。
憧れの建物を見学に行ってきました!
《旧目加田家住宅》 
京都府京都文化博物館  別館 
旧日本生命
京都支店
波連子
花頭窓
日昇別荘
不動院 鐘楼 ※国の重要文化財
室町時代(1433年)に建立された鐘楼です。金堂・
楼門よりも古い建造物となります。金堂と同じく他の
場所から移築したと伝えられています。構造形式は桁
行三間、梁間二間、杮葺きの入母屋造りです。白漆喰
の袴腰と朱塗りの鮮やかな木部が特徴です。和様三手
先の組物を用いていますが、軒には扇垂木を用いるな
ど禅宗様の手法も使われています。
金堂
【曲線を強調したデザインの開口部】
 不動院は爆心地から3.9km離れた位置に存在しますが、原爆の爆風による被害以外に
大きな被害は無く、その姿を今に残しています。来月から新しい元号に変わり、新しい時
代が始まりすが、これらの建築物のように先人たちが「造り上げたもの・守ってきたもの」
は次の時代に引き継いでいかなくてはと思いました。
鐘楼
自然との共存~太田川の歴史~
2019.03.04